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社長インタビュー

2023年12月
代表取締役社長 橋本 太郎


2023年度上期の業績と通期業績予想についてお聞かせください

2023年度上期の業績は、前年同期に比べ増収増益で順調に推移しました。売上高は8%、営業利益は19%、経常利益は17%の増加となりました。また、純利益は前年同期に「スタジオ・コンテンツ」において発生した、外国映画の配給事業からの撤退に係る損失がないことから、37%増と大幅な増益となりました。

通期業績予想に対しては50%を若干下回る進捗率ですが、例年上期よりも下期の業績が良い傾向にあるため、概ね想定の範囲で順調に推移することを見込んでいます。したがって、通期業績予想は据え置きとさせていただきました。

なお、2023年度の配当につきましては、期初に発表したとおり、中間配当は行わず、前年度から3円を増配した1株当たり33円の期末配当を予定しています。

セグメント毎の増減要因を教えてください

全体では引き続き「教育」と「技術」が増収増益となり、業績をけん引しています。

特に「教育」は8期連続で生徒数が過去最高を更新し、大きく伸びています。一方で急速な成長に伴う教員の確保や生徒の定員の増加については、しっかりと対応しなければならない継続的な課題として取り組んでいます。

「メディアコンテンツ」は、デジタルメディアサービスの広告収入の不調により減収となった一方、コスト抑制効果により赤字幅が縮小しています。業績の改善と成長をめざして組織の見直しと業態転換を進めています。

「スタジオ・プロダクション」は減収減益となりました。その主な要因は、海外ドラマシリーズ等の売上計上が、シリーズ全話納品後の一括計上となった第1四半期からの影響によるものです。この影響は当年度末まで続きますが、来年度は平準化されて通常に戻ると予測しています。そのほか米国ハリウッドで生じた「全米脚本家組合」や「全米映画俳優組合」のストライキによる下期以降の業績への影響を注視しています。

「放送」は減収減益となりました。新たに立ち上げた「釣りビジョン倶楽部(VOD+α)」の売上は増加しているものの、放送視聴料収入の減少やスポンサー収入の減少を補いきれない状況が続いています。「放送オンリーからオンデマンド(VOD)との2本柱への事業構造の転換」には一定の時間がかかりますが、釣りビジョン倶楽部(VOD+α)を事業の第2の柱として育成することで業績改善をめざしてまいります。

「技術」は、主力のアカマイ(CDN)サービスが既存顧客へのサービス拡大等により業績をけん引し、安定的な成長を続けています。また、連結業績では売上が相殺されてしまうため目立ちませんが、当社グループの各事業のDXに同セグメントが大きく貢献しています。

「その他」は赤字幅が拡大しました。プロeスポーツ推進事業は未だ立ち上げ段階で赤字ではありますが、大会の出演料や賞金が増加したことなどから増収となりました。期初より連結対象になった(株)ポケットは、上期に新規タイトルの投入がなかったため赤字を計上しましたが、この11月にリリースしたNintendo SwitchTM向けフィットネスゲーム『うちトレ』で、売上と利益を一気に挽回してくれると期待しています。

 

中長期的なインキュベーション(事業育成)についてお聞かせください

ブロードメディア・グループは“持続可能で、かつ倫理的なビジネスで成長する”ことを重要なテーマとして考えており、中長期的な取り組みとしてeスポーツ事業と日本語教育事業のインキュベーションを加速させています。

この上期も「教育」においてルネサンス高校グループがeスポーツキャンパスを各地に展開しました。4月に新設した池袋キャンパスに続き、名古屋eスポーツキャンパスを拡張移転し、なんばeスポーツキャンパスは受講スペースを2倍に拡張しました。また、中学生を対象としたeスポーツ&プログラミング教室「ルネ中等部」も、中国・四国地方を対象に「岡山校」を新設しました。

日本最大の高校eスポーツの祭典である「STAGE:0 2023」では、今年もルネサンス高校グループのeスポーツコースから出場した生徒が、複数のタイトルで優勝するなど大活躍しています。eスポーツは当初考えていた以上に教育効果が高く、これからも積極的に取り組んでまいります。

名古屋eスポーツキャンパス
(7月拡張)
なんばeスポーツキャンパス
(10月拡張)
ルネ中等部 岡山校
(9月開設)

日本語教育に関しては、4月からルネサンス日本語学院が「日本語教師養成講座(eラーニング)」をスタートさせました。本講座の開設により、今後国家資格になることで大きな需要が見込まれる日本語教師の育成事業に本格的に乗り出しました。

株主の皆様へのメッセージをお願いします

第2四半期までの業績は順調に推移しており、下期も「教育」や「技術」を中心に増収増益をめざしてまいります。また、期末配当は期首の予定どおりに3円増配して、1株当たり33円の配当を行う予定です。引き続き、成長のために必要な投資とのバランスを考慮しつつ株主還元を実施してまいります。

これからの当社の成長のために必要な投資は、これまでのインキュベーションの範囲にとどまらず、「教育」、あるいは「教育」と「技術」の両方にまたがる領域を中心に行っていく予定です。そうした取り組みも加えながら、引き続き通信制高校、eスポーツ教育、日本語教育等による“独自の複合的な教育事業”を積極的に展開してまいります。また、セグメント間の連携の強化や、既存事業の高付加価値化、事業ポートフォリオの見直しも進めており、そのために必要な投資も行ってまいります。

株主の皆様におかれましては、引き続きご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。